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今日、観て来ました。
出演:平幹二朗、松井誠、和泉元彌 他
演出:板垣恭一

この劇場自体が小さめな舞台なせいか、舞台装置などは一種類だけで、照明と音響で別の場所になってました。場面転換が非常に多いので、このやり方はよいと思う。んで、照明が真っ暗になってあかりがつくと、もう登場人物がそこに立っているというのが、なかなかいい感じでした。

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アントニーがクレオパトラに溺れてしまって、ローマからの重要な使者を門前払いにしているシーンから始まります。けれど、人間関係のドラマは実はこの2人の周囲でもガッツリ進行しているわけであり……
原作には侍女チャーミアンがアレクサスと恋人同士というのは特に触れてないのですが、この舞台では完全にそれ。しかも、アレクサスは使者の役をことごとく一人で担うため、アントニーの結婚を伝えてはひっぱたかれ、クレオパトラの手にキスしたといってはムチでぶたれ、とさんざん。しゃれにならないのは、この鞭打ちがあんまりひどくて、チャーミアンの目の前で彼が息絶えてしまうことです。さらに悪いことに、殺したアントニーは全く罪の意識もない。

侍女のふたりめアイラスは登場せず、代わりのようにマーディアンがたくさん喋ります。しかもこの宦官は、アントニーとクレオパトラのらぶらぶ状態を疎ましく思っており、アントニーがオクティヴィアスに負けたら、さっさとオクティヴィアスに服従すべきだという持論を展開、クレオパトラは海戦のショックからこの説に影響されかけるけど、そこでアントニーが(怒りのあまり)復活してしまって(戦いにも勝ってしまって)、マーディアンの計画は一度は狂う。

アントニーはいよいよ勝てそうな戦いでエジプト軍の裏切りにあい、今度は完全な敗北。これを女王が裏切ったと怒り狂うアントニーですが、演出では、エジプト軍を寝返らせたのはどうやらマーディアンらしい。それを曖昧に自白するシーンがあり、何をされたのかクレオパトラが気がついて、「アントニー!」と悲鳴を上げながら走り去る。
女王自殺のデマを持ってくるのは、恋人を殺されて恨みがあるチャーミアン。
クレオパトラが死んだと聞かせればアントニーはどうするか。
チャーミアンは冷ややかに、「きっと正気に返ります」
そんなわけはなくて、発作的にあとを追って、自分に剣を突き刺すアントニー。
これ、チャーミアンの計画通りという、意外な解釈ですね。なかなか面白い。そして最後は彼女もヘビに手を出すわけですが。
恨みがあって罠にかけた割には、女王にはやっぱり忠誠を貫いたのか、それとも恋人が死んで世の中が空虚になった、と訴えるクレオパトラにチャーミアンは自分自身を見たのか。侍女が死ぬにもちゃんと理由があるというのもスッキリ落ち着く話になるもんですね。(その分、主役の2人が幾分かすむのは仕方がない)

アントニーが死ぬと、ほとんど間髪をいれず、クレオパトラもローマ兵士との会話もなく、勝手に自害する。
ヘビを持った道化は占い師と一緒に冒頭からアントニーとクレオパトラの周囲にまとわりついていたので、すごいタイミングでヘビを差し出すのですが、それが劇中ずっと繰り返される「運命!」ということなので、ちょっと不気味に感じます。(道化って不気味になりうる役柄だなあとつくづく)
それにしても、たかが宦官に女王の権限で軍を動かされてしまったり、侍女の浅はかな復讐計画にまんまとはまってしまったりと、このクレオパトラは全く頭が空っぽ無垢なこと、まるでジュリエットのようであり、ローマとエジプトの政治的なやりとりを排除した最後のシーンは、おそらくここを純粋な心中ものに見せようという狙いもあったかと思います。

結構満席に近くて、アンコールもノリノリな福岡だから、シェイクスピア劇もここを見放さず、いつかまた来てくれるのではないかと、ちっちゃな希望が持てました。
平幹二朗さん(おおっ、さん付けしてる)は、すごくいいんだけど、アントニーにしてはさすがに老けすぎてて惜しかった。あと20歳若かったらそれっぽく見えたのに。
クレオパトラ役はそれなりに綺麗だし、どうかすると敢えて男の低い声でセリフを言い、それが場面にピタッとはまるところがありました。ただ衣装がね、全然古代ローマでなかったのが、なぜなのかちょっとわかりません。オクティヴィアスはいつも怒ってばっかりで、ちょっと面白キャラの一歩手前。そして全体的には、少ないキャストをひねった演出で動員してあり、一分たりとも退屈しませんでした。
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