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22日。博多座、夜の部。
3本ありましたが、ストーリー的にこれが気に入ったので感想。



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反逆罪で鬼界が島に流された俊寛とあと二人の貴人。赦免船が来るのをひたすら待っているころ、
貴人の一人が島の海女と恋仲になり結婚するのだと言い出す。それはめでたい、ここに流された者同士、親類も同然なのだから一緒に祝おうと喜んでいると、右手からすーっと船が接岸する。

この展開の速さといったら!

最初のシーンでは、俊寛はゆっくりと浜辺を歩いている。浜には千鳥がたくさん鳴いている。(笛をピーピー吹いているだけの効果音。声としてもチドリというよりアオアシシギみたいだと口走りそうになった)
しかし都の人だった彼は、豪華な着物がぼろぼろになった姿で元気なく、憂鬱そうな様子。
カップル誕生を喜ぶも、島をどう掘ろうと酒はなく、杯もない。「かわりに湧き水を貝殻で飲みましょう」と、いう。
でも見ているこっちは、ミネラルウォーターを貝殻で、のほうがナチュラルな暮らしで健全かつちょっとオサレ~なのではないかと口を出したくなる。
そこへ赦免船が来るのだが、役人が二人。
グリーンとブルーで、グリーンは白髪頭、顔つきがよろしくない。ブルーは白面の貴公子っぽい。

ともかくそろって船へ。カップルとなった相手の海女千鳥さんも乗船しようとしたが、それは許されない。カップルの彼氏はじゃあ残るといい、いえいえそれは、と騒ぎになる。ブルーが、「時間をとるから納得してから決めたらどうですか」というけど、グリーンがそれを許さず、「この図々しい女め!」と、千鳥さんを突き飛ばし殴るけるの横暴ぶり。

どうしようもなく、千鳥が取り残される。自分は海女だから8キロくらいなら泳げるけど、2000キロなんて無理無理。鬼界が島に鬼はなく、鬼は都の人のことだ、武士の約束なんか大嘘だと嘆く。
すると俊寛が戻ってきて、自分が残ればあなたが乗れる。人数が問題ならこれでつじつまは合うのだから、と説得しはじめる。これを論外だとするグリーンが、抵抗する俊寛に向かって刀を構えた!
俊寛がこれを奪って、乱闘の末、グリーンを斬り伏せる。
ブルーは、「とどめはさすな、罪が重くなりますよ」というのだが、「もう帰ったところで妻も死んでいる(グリーンはその事実を、俊寛をいたぶって楽しむかのように知らせた)し」と、やけくその俊寛はグリーンを滅多刺しにする。

ここまで恨み骨髄で都の代表(当局の象徴)に暴力で抵抗する俊寛は、単に息子娘同然のカップルの幸福のために自分が犠牲になるというような慈愛の人ではなくて、情念と行動の人として描かれていると思いました。最後に岩の松の木に同化するかのようにすがって船を見送るけど、かわいそうには見えない。歌舞伎に比べるとあっさりした構成ではあるけど、近松のシナリオの俊寛は、人間性ありありの、悲劇性も十分なアクションヒーローでした。渋かった!
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